
長野県安曇野市、穂高駅から徒歩1、2分の場所に『おもしろカフェ・スプーンアート』という場所があります。見てのとおり、外観から既に常軌を逸していて、堂々と「おもしろカフェ」という表記もされています。「おもしろ」という名称を使って成功している例は、面白法人カヤックくらいしか知りません。
正直、かなり入店に勇気が要るカフェなのですが、ぜひ珍スポットやアホなこと、バカなことが好きな人は入ってみて下さい。実は2年前に訪れていて、今回が2回目の訪問なのですが、中は日々進化しているということで、改めてその全貌をレポートしてみようと思います。
(前回の記事)信州で一番アホなカフェに入ってみた! : 長野ウラドオリ
メニューがアホだ!

取り敢えず入口

こんな店内
入店すると、一見普通そうな店員さんがお水と共に、メニューと呼び鈴を持ってきてくれます。呼び鈴の方もかなりアホすぎるのですが、それは実際に入店してみてのお楽しみとしましょう。

メニューは傘

内容にもバカっぷりが出ています

かなり高額な定食もありました
傘を開いてメニューを見るという斬新な方式。でも、ここまでなら威勢の良い海の家のお兄ちゃんでもやっていそうなのですが、中身がかなりぶっ飛んでいます。『愛すコーヒー』という小学校レベルのダジャレをぶっ込んできたり、ドンペリ定食にルイ13世定食など、ホントに用意されているのかわからないメニューまでありました。
出てくる料理がアホだ!

愛すコーヒー
お腹が減っていたわけではなかったので、取り敢えず愛すコーヒーを注文してみました。すると出てきたのは、丸大豆しょうゆの瓶に入ったアイスコーヒー。隣のオリーブオイル風のものは、シロップです。

こうやって飲みます
完全に飲む気持ちが失せてしまう、愛すコーヒー。醤油を飲んでいるような気分になって、ちょっと喉元から気持ち悪さが込み上げてきました。でも、ここスプーンアートカフェではこれくらい序の口。お客さんを驚かせるだけでなく、ちょっと嫌な気分にもさせてくれるステキなカフェなのです。

和式便器を模したカレー
さらには、隣に座っていたお客さんが注文していたカレー。お願いして撮らせてもらいました。便器にカレーが入っているだけでなく、スリッパやトイレットペーパーまで付いていて再現度がスゴいです。女性が注文されていたのですが、これを食べている姿はそれはそれは○○○なことでしょう。
店内の展示がとにかくアホだ!
よく言えば大人のおもちゃ箱。普通に考えれば、大人の本気の悪ふざけ。もっと言葉を悪くして言えば、人様を舐めているとしか言えない展示の数々がここにはあります。あくまで一部ですが、それらを紹介してみますね。
こんなのは、ほんのジャブ

セブンスターを持ったウルトラマンセブン

おい、キューピー

ダジャレも多才

おとなびと・・・

交換条件

こういうのはちょっと良い

スカート・・・

めくろうとすると……(続きは店内で)
基本的にダジャレのようなものが多いのですが、ホントに店内の壁や棚、床などあらゆる部分を使っているので飽きません。いちいちツッコミを入れたいところでもあるのですが、そんなことをしていたら時間も体力もボキャブラリーも無くなりそうなので、ドンドンテンポ良く見ていくことをオススメします。
危険な双眼鏡がアホだ!

席には双眼鏡が置いてありました
本当にいろんな所に展示があるので、それらをしっかり見るために席には双眼鏡までもが用意されています。片手で持てるコンパクトなサイズなのですが、こういう心遣いも含めて本気だなと感心してしまうほど。思わず手にとって双眼鏡から遠くに飾ってある作品を覗いてみます。
どれだけアホなものだって、どんだけバカなものだって、作ったものは全て作品。しっかりとその目でくまなく見て帰って欲しいという店主の心意気が、この双眼鏡に表れているわけです!!
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ウソです。
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双眼鏡を覗いた僕に、ウェットティッシュが渡されました…
2度目の来店ということもあり、以前一度来ている旨と、日頃から店のFacebookを見ていることを伝えると、店主の人が「あ、ちょっと」と言いながら差し出したのは一枚のウェットティッシュ。結果として僕はそのウェットティッシュで顔を拭く羽目になりました。特に目の回りを拭うたび、真っ白だったウェットティッシュは黒く汚れていきます。
すげぇです。すげぇです。本当にすげぇです。このカフェ、尊敬します。お客さんの目の回りを汚しちゃうなんてスゴいこと。心から店の信念を感じました。
トイレがアホだ!
店に入り注文をした際、店主さんからは「2階にも展示があるんで見て下さい。あとトイレも面白いですよ」と言われていました。他のお客さんにも言っていたので、決まり文句になっているようです。
そんなトイレがこちら

平然と用を足せる人がいるのでしょうか、怖すぎます
あんまり書いちゃうと、行った時の楽しみが無いので書かないですが、とにかくトイレは奇妙奇天烈摩訶不思議状態。写真だけでは伝わらないギミックが潜んでいるので、もし店に訪れたら必ずトイレにと立ち寄って欲しいです。いちおう、数珠や十字架などが無料レンタルできるという注意書きもありました。本当にゆっくりと用を足したい人は、駅のトイレを使うと良いかもしれません。
店主がアホだ!

数々の仕掛けを作った店主がコチラ!
ど根性ガエルのヒロシのように、Tシャツにカエルをしのばせた店主。ぴょん吉のようにコミカルなカエルだとかわいげもありますが、実際にカエルがTシャツにいるとこのような感じになります。気持ち悪いし、なんかちょっとウェットな感じも耐えられそうにないですね。

店主にはスプーンマンという異名もあります
また、店主は単なるカフェ店員というだけでなく、スプーンマンという異名まであるお方。こちらが頼んでもないのに、スプーンで作った鎧や兜を身にまといポーズまで見せてくれました。
スプーンアートは本物だ!
アホだ、バカだ、悪ふざけだ。この店、ここの店主のことを形容しようとすると、どのように表現していいのか非常に迷います。人によっては不気味だという人もいるでしょう。お子様の目を隠し、「見てはいけません」と言うお母様もいらっしゃるハズです。ただ、一つだけ言えるのはここの店主さんが作るスプーンアートだけは間違いなく本物だということ。

店内にはたくさんのスプーンアートも飾られています

スゴいです
元々は調理師学校を出て、ラーメン店を開業していた店主の松原さん。父の墓前に飾る竹細工を作ったことから造形作家としての道を歩み始めたのだそう。廃物アートという名前でじわじわと世間に知られるようになり、気付けばラーメン屋を閉め、アートの世界にどっぷり。
以降、メルボルン国際芸術賞2006で入賞したり、その他数々の受賞歴を重ね、「スプーンアート」という世界観を作り上げていきます。……そう、ここの店主はただの危ないオジさんではなく、実は結構スゴい人。
まとめ
手先の器用な造形作家が、クールなアーティストという枠組みから逃れたくて、アイデンティティを詰め込みまくったこのお店。紹介している展示以外にもたくさんの作品がありますし、行かなきゃわからない面白さもたくさんあります。JR穂高駅のすぐ目の前。信州に来たら、ぜひ一度訪れてみましょう。
安曇野穂高・おもしろカフェスプーンアート/スプーンマン